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髙村薫「冷血」 [読]

合田雄一郎は好きな主人公の一人だ。
警視庁捜査一課特殊斑の係長になって、もはや第一線の現場に出て犯人と直に対することはできず、本部で指揮をする立場になった。
歯科医夫婦が、子ども二人と共に、強盗に惨殺される。犯人は刑務所がえりの二人とはいえ、全くの粗暴犯ではなく、被害者との面識もない。偶然のように事件が起こり、動機も明らかにならないままに、犯人は死んでゆく。希望も何もない。人間のおぞましさが淡々と綴られる。
彼らの心の闇に向かい合う雄一郎も、また、闇を抱えたままのように見える。野菜作りをはじめたとはいえ、犯人をして「歳を食った学生」と言わしめた雄一郎は、この事件が起こった2002年で42、3歳の設定になっている。
とすれば、震災は50歳を過ぎて迎えることになる。一体、次作はどのような姿を見せてくれるのだろう。

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