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佐山和夫「箱根駅伝に賭けた夢」 [読]

日本が初めてオリンピックに参加したのは1912年のストックホルム大会だった。
講道館創始者の嘉納治五郎が団長で、選手は短距離とマラソンの2名。本書はそのマラソンに出場した金栗四三が全国に体育を広めた記録である。
オリンピックでは、当時すでにスポーツ大国だったアメリカが豪華客船で選手を送ったのに対し、シベリア鉄道を使って参加するという困難の中で、無念の途中棄権となる。帰国した金栗はその経験を生かしてスポーツの重要性を説き、福岡マラソンや箱根駅伝などを創設した。
著者は、金栗がオリンピックで無念のリタイアをしたとき、親切に手当てをしてくれたストックホルムの家庭を探し出す。金栗は彼らに深く感謝し、彼らも金栗を忘れなかった。私にとってスウェーデンとは、北欧の福祉が進んでいるというだけのイメージだったのが、一挙に親しみのわく国になった。
あれから100年。8月のロンドンも暑いだろうが、日本代表のみなさんには自己ベストを更新してもらいたいものだ。

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