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天童荒太「歓喜の仔」 [読]

これほどこころを揺さぶられたのは、いつ以来だろう。初めてかもしれない。
知人の借金の保証人になって壊れた家族がある。父親は行方が知れず、母親は寝たきりの植物状態になる。ヤクザの取り立ては残された3人のきょうだいを縛り、高校中退の長男と6年生の次男は覚醒剤の小売り包みを作らされる。
海の向こうの戦火の国でも、占領軍に蹂躙された民族の中に、3人きょうだいと同じ境遇の子どもたちがいる。
今日を生きるしかない彼らがいかにして明日を切り開くか。人を虐げ、だまし、搾取し、犠牲にする人間が滅びることはないのか。
この本が一人でも多くの人の目に止まりますように、読んでもらえますように。こころからそう思う。

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