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映画「リンカーン」 [観]

リンカーンの一生を描いた作品ではない。奴隷制廃止の憲法修正の活動に絞って作られている。
言葉を大切にした人らしい。苦しいときでもユーモアを忘れず、その場にふさわしい引用(誰の言葉か判らず残念だが)や、相手の懐に飛び込む会話をする。
一方で妥協やはかりごとも厭わず、最後は強力なリーダーシップを発揮する。こういう政治家は我が国にはいるのだろうか。
熱演のダニエル・デイ=ルイスは風貌もよく似ていて、アカデミー受賞にふさわしい。

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小川洋子「ことり」 [読]

孤独死した小父さんは鳥かごを抱えていて、放たれたメジロは別れを告げるように囀った。
言語障害の兄は小鳥の言葉が分かるようで、両親は理解できなかったが、小父さんは言葉が通じた。両親の死後、兄と二人で暮らし、兄が死んでからは一人で生きた男。
幼稚園の鳥小屋を掃除し、淡い恋をし、濡れ衣を着せられ、良き理解者だった園長は去る。そして、最後に密猟されたメジロたちの命と引き替えるように生涯を終える。
彼の一生が淡々と綴られる。それだけの物語なのに味わい深い。

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棋士がコンピュータに負けた日 [思]

将棋のトッププロ5人がコンピュータソフト5本と対戦した第2回電王戦はソフト側の3勝1敗1引き分けで終了した。
チェスでは早くに世界チャンピオンがコンピュータに負けていたが、獲った相手の駒を味方の駒として再利用する将棋では、まだまだ先のことだと思っていたのに。
今日の最終局をニコニコ生放送で見た。プロはA級2位(つまりはプロ順位第3位)、ソフトは670台のパソコンを連結して思考するというGPS将棋。後手番のソフトが、自分から仕掛けて定跡を外れ、一手違いも許さない完勝だった。
衝撃の結果だが、参加者全員の記者会見はすがすがしいものだった。プロは潔く負けを認め、ソフト開発者は、人間とコンピュータの戦いではなく将棋プロという人間とソフトを開発する人間の戦いであるとして、謙虚に技術の向上を誓う。
ぜひ来年も開催してもらいたい。これで棋士たちは本気になる。体力勝負や駆け引きが通じず、錯覚をしない機械を相手に、トッププロの知能を振り絞った真剣勝負を見たい。

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映画「舟を編む」 [観]

人と人をつなぐ大切な言葉。その言葉の海を渡る船が辞書。その辞書を作るために半生を、人生を懸けた人たちの物語。
原作を読んだときの感激が薄れてしまうのでは、とも思ったが杞憂だった。忠実に再現されている。
配役もはまっている。中でも加藤剛、伊佐山ひろ子、オダギリ・ジョーら脇役がいい。
おすすめだ。

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河内長野野鳥の会探鳥会案内 [鳥]

2013(平成25)年4月に発表された地元の会の探鳥会。
*4月28日(日) 大阪城公園
 キビタキやオオルリなど夏鳥がやって来る。都会の真ん中の大阪城が、繁殖地に向かう彼らの、貴重な中継地になっている。
*5月25日(土) 金剛山
 大阪で最も人気の高い山は夏鳥が繁殖する場所でもある。そーっと覗かせてもらいましょう。

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中脇初枝「きみはいい子」 [読]

子どもの虐待をテーマにした5編の小説。
再婚した親に満足食べさせてもらえない子どもと向き合う小学生の教師。
自身が虐待されながら、我が子を同じ目に合わせてしまう母親。
虐待されている子どもと友達になった我が子を見守る父親。
障害を持つ子と痴呆の始まったおばあちゃんの交流。
虐待された母親の面倒を見ることになった娘。
辛い話ばかりだが、望みを示してくれているようにも見える。

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シロハラ [鳥]

ツバメが随分前にやってきて、夏鳥がやってくる季節だ。
それでもまだ、冬鳥が残っている。ツグミは見かけなくなったが、シロハラとアオジが草だらけの庭にやってくる。シロハラは盛んに虫を探している。大陸への長い旅に備えて体力をつけているのだろう。
とても恐がりで、写真を撮ろうとちょっとカーテンを揺らしただけで逃げてしまう。

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談山神社 [遊]

藤原鎌足を祭る奈良の神社。
近所の桜はみんな散ってしまい、昨日の夕刊の桜情報で満開となっていたので、今年の見納めに出かけた。
初めての場所だったが、桜自体が少なく、一本の木に花も少ない。残念だった。
神社の裏山の頂上から大和三山が見られる。その近くに、中大兄皇子と鎌足が蘇我入鹿を追い落とす談合をした場所というのが伝えられている。神社の名前もそれに由来するという。

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映画「ヒッチコック」 [観]

ヒッチコックが「サイコ」を撮ったときの様子を映画にした。
抜擢した女優に心を奪われながらも、妻が浮気をしているのではないかと猜疑心にとらわれる。屈折したこころが狂気の作品につながっていく、ということか。
ハッピーエンドのようだが、そうなのかな。

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上野千鶴子「みんな『おひとりさま』」 [読]

 「フェミニズムの権威、とは呼ばれたくないが、パイオニアと呼ばれることには誇りを持っている」 。
東大の最終講義でこう語ったと伝えられる著者の対談やエッセイを集めたもの。
PPK教(ピンピンコロリ)を密かに信奉していたのだが、そんなことは誰しも思うことで、そしてその願いを叶えらる者はほとんどいないことを思い知らされる。
未曾有の超高齢社会を生きるにあたって、国民年金制度と健康保険・介護保険制度を維持し、子どもたちには「主権」をもってもらい、世代間連帯を高めることが大切という。
ただ、団塊世代の子育ての失敗について、板東眞理子の「子どもたちには魚の釣り方を教えなければならないのに、釣った魚を与え続けてきたから」という言葉が紹介されていて、落ち込む一方だ。

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シマトネリコ [遊]

玄関口の狭いスペースに植えた。
二十年の間にエゴ、リョウビと枯らしてしまい、三代目になる。
モクセイ科の常緑高木で亜熱帯の植物らしく、日本では沖縄で自生するという。病気や虫に強く近頃流行りの樹らしい。
成長すれば10mを越えるそうだが、さてどうなることやら。

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窪美澄「晴天の迷いクジラ」 [読]

内湾にクジラが迷い込み死に瀕する。生きることに疲れた3人がそれを見に行く。
一人は親に愛されず育ち、仕事が忙しくて大切な恋人を失った男。その男が勤めるデザイン会社の経営者で、倒産が迫る女。そして親の人形のように育てられた娘。
クジラの救出活動を続ける地元の家に寝泊まりした彼らが再起の力を手に入れる。なかなかいい。

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映画「アンナ・カレーニナ」 [観]

トルストイのラブストーリー。
ロシア高級官僚の美人妻が青年将校と恋に落ちて、夫も子も捨ててしまうという話。互いに一目惚れというわけで、旦那からするとバカみたい。
舞台の暗転をイメージさせる、シーンの切り替えと、美しいカメラワークだが、それだけだ。

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新年度 [思]

桜が満開になった。
この冬は寒かったのに、例年より1週間ほど早いらしい。不思議なものだ。
折しも新年度の始まり。また1年、週3日だが、いや、だからこそなんとか無事に勤め上げねばならない。
写真は昼休みにスマホで撮った大阪城の外堀。

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