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澤田瞳子「若冲」 [読]

江戸時代中期の画家、伊藤若冲の物語。名前は知っていたが、どんな絵を描いたのか知らなかった。
大きな問屋の跡取りとして生まれ、生活には困らなかったが、妻に死なれたことが生涯絵を描き続けるバネになったという。
まあまあ面白かったが、名詞止めが多く読むリズムが切られる。好きな蕪村も出てくるが、貧弱に書かれていてこれも残念。

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四万十ヤイロチョウの森ネイチャーセンター [遊]

8日から10日まで四万十川に行ってきた。目当てはヤイロチョウ。東南アジアから飛来し、深い森で子育てをする。
残念ながら声すら聞けなかった。あちこちでサンコウチョウやアカショウビンがさえずり、ブッポウソウが飛び回るという贅沢な鳥見だったが、あこがれの鳥の前ではかすんでしまう。
まあ、念願だったネイチャーセンターを訪れることが出来たので、良しとしなければなるまいか。

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後藤正治「天人 深代淳郎と新聞の時代」 [読]

朝日新聞嫌いの人でも、朝刊一面のコラム「天声人語」のことは知っているのではないか。
その欄を1973(昭和48)年2月から1975(昭和50)年11月まで担当し、急性骨髄性白血病で夭折した新聞人の伝記である。
その時期は毎日新聞を取っていたので知らなかったが、本の中で紹介されている多くの「天声人語」を見ると、いかに惜しい人だったのかがわかる。故人や同業者を語る際の礼節などがあるにしても、深代淳郎に対する著者の敬意と好意がにじみ出ている。
朝日はいま、慰安婦報道を巡る誤りの連鎖で、存亡の危機にある。この本を読んで、もう少し応援してみようかという気持ちになった。
コラム名の「天声人語」とは「天に声あり、人をして語らしむ」という中国の古典からとられたらしいが、深代はこう書き残したそうだ。「しばしばこの欄を、人を導く『天の声』であるべしといわれる方がいるが、本意ではない。民の言葉を天の声とせよ、というのが先人の心であった」。

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