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山川徹「国境を越えたスクラム」 [読]

ラグビーの日本代表チームが1930年に初めて結成されたとき、台湾出身の留学生が出場していた。その彼は4年後には日本代表の主将を務める。そして、今の主将リーチマイケルはニュージーランド出身だ。
この本は副題のとおり、日本代表になった外国出身の選手たちについて書かれている。これを読むと、彼らが「日本」の代表にふさわしいことがよくわかる。
我が国は古代から外国の文化を取り入れて発展してきた。スポーツでも同じだ。素敵な文章があったので書いておく。
「組織や地域の風土をつくるのは、土の人と風の人だといわれる。土の人は、土地や組織に根ざして文化や慣習を守り、受け継いでいく。一方の外部から入ってくる風の人は、新たな価値観や考え方をもたらしていく。」
さあ、次戦は明後日、相手は最強アイルランドだ。行け!

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東野圭吾「希望の糸」 [読]

新参者加賀恭一郎は合田雄一郎と並んでお気に入りの主人公。そのシリーズの書き下ろし新作。そうとは知らずに予約していて、とても得をした気分。
加賀は捜査一課に復帰していて従弟松宮脩平の上司。今回はその松宮が主役。
和菓子のカフェの女主人が殺される。簡単に犯人を明かしたあとに、様々な親子の様子が綴られていく。一息に読んで、とても面白かった。

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サーシャ・バイン「心を強くする」 [読]

もうじき全米オープンテニスが始まる。昨年、大坂なおみが優勝したときは鮮烈だった。そして、今年の全豪でグランドスラム大会を連覇したあと、コーチを解任したのは衝撃だった。
そのコーチが書いた本。大坂やセリーナ・ウィリアムズのコーチとして働きながら学んだことや、彼女たちにアドバイスしてきたことを50の項目に分けて記している。
「いつも心にプランBを」、「良い嫉妬、悪い嫉妬」、「あなたは怖い、誰もが怖い」など内容も面白かったが、やはりなぜ大坂と分かれたのかを知りたくて読んだ。
「だれかの役に立っているときが、いちばん幸せ」というこのコーチは、セルビア人の父と祖父の不審な死にあうという苦労人だが、実に生真面目だ。おそらく若い大坂なおみにとって、テニス一筋の息苦しい生活が続いたので少し休憩したい、というところなのではないか。
その後、不調が続いているが、もう一度テニスが強くなりたいという願望が強くなったとき、再びこのコーチとやり直すのではないか。そして、サーシャ自身もそのときを待っているように思える。

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横山秀夫「ノースライト」 [読]

北側から射す淡い光をふんだんに取り込んだ家。「あなたが住みたい家を」と依頼された建築士がバブル経済時代に造った自信作。
羽振りをきかせていた男は、バブルの崩壊とともに妻子と別れ落ちぶれる。見かねた旧友に雇われるが、かつての自慢の家に依頼主が住んでいないことがわかり、犯罪のにおいも漂う。
旧友が美術館建設のコンペに参加することを巡って、男たちの葛藤と友情、家族への愛情物語が展開していく。
謎解きの設定が少し苦しい気もするが、警察小説でならしているだけあって十分に面白かった。主人公が鳥好きでベニマシコやキビタキが出てくるのもうれしい。

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佐川光晴「駒音高く」 [読]

藤井聡太の登場で将棋界が賑わう。ペーパー四段の一ファンとしても喜ばしい。
これはその将棋界にまつわる7作の短編集。将棋会館の掃除のおばちゃん、棋士を目指す子どもたち、夢を絶たれた少年、女性初を目指す少女と母親、恋する若者、観戦記者、引退する名棋士のエピソードからなる。
どれも優しさがあふれていて気持ちいい。ただ、現在の将棋には欠かせないAIに関わる話がないのが残念だが、それを引いても面白かった。

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宮部みゆき「昨日がなければ明日もない」 [読]

杉村三郎は合田雄一郎と並んでお気に入りの主人公だ。大企業創業者の孫娘と別れて探偵をしている。
新作は自殺未遂の娘、結婚式の娘、シングルマザーが登場する3話。いつも、辛い現実を書きながらも、弱者にあたたかく希望の光が差すのに、今回は違う。
結婚式の娘はともかく、第1話と第3話は人間のこころの闇の深さばかりが浮き上がり、全く救いがないように見える。ただ、最後に呆然と立ち尽くす杉村に対して、新しいキャラクターのノンキャリ警部補に「あなたもしっかり頑張りなさい、探偵」と言わせたのは我々読者に向けたのかもしれない。

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上橋菜穂子「風と行く者」 [読]

いつのことだったか、電車の中で「獣の奏者」を読んでいたとき、その表紙に気づいた小さな女の子がびっくりしたような、うれしいような顔をした。あのとき、こちらから話しかければ良かったのになあと、上橋菜穂子の作品を読むたびに思い出す。
これは、綾瀬はるか主演でドラマ化もされた、女用心棒バルサの外伝。中年になったバルサが死者を弔う楽団一座の護衛を引き受け、かつて養父ジゴロとともに同じ楽団の用心棒となった過去が綴られる。
国際アンデルセン賞を受けたこの人の本は、いつも全編に哀しみが漂う中で、あたたかさが心にしみる。あとがきに「弔いと気づきと救いを感じていただけたら」とある。

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白川優子「紛争地の看護師」 [読]

国境なき医師団という存在を知ったのはいつのことだったろう。政府や民族の争いの果てに戦争に巻き込まれ、理不尽に死傷していく民間人をただ手当する人たち。
著者は団の手術室看護師としてたびたび中東やアフリカに派遣されていて、この八年間の経験が書かれている。ここにはマスコミでは報道されない生々しい現実がある。
医師団に入ったいきさつや、家族のこと、恋人のことも記されている。こういう人がいるんだ。応援せずにはいられない。自らの命の危険を承知で活動する原点は明快だ。
「『何もあなたが行くことはない』
 『日本でだって救える命はある』
 では、誰が彼らの命を救うのだろう」

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飯嶋和一「星夜航行」上・下 [読]

戦国時代、徳川家康の長男信康に小姓として仕えた男の物語。
信康が父に殺されたあと出奔し、海洋商人となっていく壮大な展開になる。大作で秀吉の韓国侵略戦争の場面が少々冗長にもみえるが、それを引いても、とても面白かった。
終章も素晴らしい。

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帚木蓬生「守教」 [読]

酷暑と災害の夏もようやく終わりそう。
織田信長の時代に伝来したキリスト教が、江戸時代の弾圧を経て復活するまでを書いた小説。大名や侍から始まった信仰が、最後は百姓によって細々と守られてきた歴史が骨太に書かれている。信者ではないけれど心打たれる。
朝〇新聞の昨年2017年の年間書評で複数の委員が挙げていた本。すぐに図書館に予約したのだが、9ヶ月待った。

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木皿泉「さざなみのよる」 [読]

富士山の麓の小さなスーパーマーケットを経営する三姉妹。その次女が死ぬ。
彼女を巡り肉親や知人達が織りなす14の掌編が、さざ波のように、生きることの素晴らしさを伝えてくれる。
ぜひ、今年の本屋大賞第1位となって、多くの人に読んでもらいたい。
去年、今年と正月に続けて放送されたNHKドラマがよみがえる。来年の正月も続編を観たい。

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原 尞「それまでの明日」 [読]

知らない作家だったが、日本のレイモンド・チャンドラーと呼ばれる人が14年ぶりに探偵シリーズの新作を発表した、という宣伝にのって読んだ。期待は裏切られなかった。
消費者金融の男から料亭の女将の身辺調査を依頼された探偵が、暴力団が絡む事件に巻き込まれる。その中で出会った若手起業家と依頼人の謎が、家族の情愛と共に展開していく。
そして、全てが明らかになったとき衝撃のラストが待っている。題名の意味もそこに込められているのだろう。
切れのいい文章でテンポよく物語が進み、刑事やヤクザたちとでさえ、会話が機智に富んでしゃれている。30年前に書かれた第1作から読んでみたい。

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陳浩基「13・67」 [読]

香港警察の一人の刑事を書いた小説。
英領から中国へ返還される歴史を背景に、六編の難事件を解決していく中で、彼の誕生と死が描かれる。
汚職がはびこり腐敗する警察の中で、正義と誇りを貫こうとする男達が熱く語られる。主人公は死んでしまったので続編はないのだろうが、スピンオフの物語はぜひ書いて欲しい。
題名は彼が刑事となる1967年と、死ぬ2013年を表したものか。

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山中伸弥・羽生善治「人間の未来 AIの未来」 [読]

将棋の永世七冠で国民栄誉賞を受けた羽生善治と、iPS細胞でノーベル賞を受けた山中伸弥の対談集。
人工知能AIや生命科学の発展で人間がどう変わっていくかを語り合う。異業種のトップ二人の話は刺激的でわかりやすく、とても面白かった。
ただ、二人とも未来については必ずしも楽観的ではない。
山中「もう一度世界戦争が起こったら、核兵器で人類は滅ぶ。人間は自制できるか、AIはその自制を助けてくれるか」。

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合田雄一郎は58歳になる [読]

人間ドックの待合室で、普段は読むことのないものをと、何気なく毎〇新聞を手に取り小説欄を見て飛び上がった。
合田雄一郎が出ている!
図書館へすっ飛んでいった。タイトルは「我らが少女A」、昨年8月から連載が始まっていた。舞台は東京の多摩、ときは現在2017年、合田は警察大学校の教授で57歳の警視。同い年で義兄の加納は高裁の判事になっている。
風俗嬢が殺され、逮捕された同棲相手の供述から、彼女が12年前に起きた未解決の殺人事件に関係していたことが分かる。そして、その捜査の責任者が合田だった。
当時、高校生で「少女A」とされ重要参考人だった彼女を巡り、被害者一族、関係者たち老若男女の一人一人の様子が綿密に綴られていく中で、事件の全体像と、彼らの人生が浮かび上がろうとしている。大好きだった合田雄一郎はどのように刑事生活を終えるのだろう。
髙村薫は前作の「土の記」でも多くの賞を取ったが、さらに傑作の予感がする。毎日図書館に通うか、新聞を替えるか、どうしよう。

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早瀬耕「未必のマクベス」 [読]

題名は、「自ら望んで、王を殺したマクベスのようになろうとした訳ではないが、結果としてそうなっても仕方ない」というような意味だろうか。
東南アジアで交通系ICカードの販売で成果を上げた男が、香港にある子会社の社長に抜擢される。しかし、そこは親会社の裏金作りを担当するところだった。高校時代の初恋の相手が絡み、波瀾万丈の人生が始まる。
シェークスピアを読んでいなくても「マクベス」が分かるように工夫されているし、少しわかりにくいところもあったが、そんなところは読み飛ばして、とにかく面白い。
北上次郎が解説で書いていることがピッタリだ。「正しくても退屈な小説より、少々問題があっても読むことの喜びにあふれた小説のほうがいい、・・・とても素敵な小説だ。究極の初恋小説だ」

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瀬戸内寂聴「いのち」 [読]

今年読んだ最後の本になった。
御年95歳、「最後の小説かも」とのたまう。先に逝った、河野多惠子と大庭みな子との交流を軸に、自分の半生や手術のことも書かれている。小説、と銘打たれているものの、愛憎混じりあって実際にあったことなのだろうと思わせる。
男と女のこと、若い秘書とのやりとりなど実に若々しい。面白かった。

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柚月裕子「慈雨」 [読]

この人が書くものはなぜか胸を熱くさせる。自分ができなかった姿を描いてくれるからだろうか。年甲斐もないことだが。
今回の主人公は退職した刑事。過去に取り扱った痛恨の事件と同様のものが発生し、縁があり協力することになる。
折しも四国遍路の途中にあって、妻と同行二人と捜査が進行していく。面白かった。

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上田秀人「竜は動かず」 [読]

江戸から明治へ移る時代が舞台。龍馬や新撰組、西郷や勝海舟などたくさんの読み物が作られてきたが、これは違う立場から書かれた小説。
奥州仙台藩の下級武士が主人公。ペリーの黒船来航に伴い、アメリカに派遣された幕府使節の一員となる。国力の違いに圧倒され、植民地にされる危機感を元に理想を実現しようとするが、幕末の嵐に飲み込まれる。
題名は仙台藩始祖「独眼竜」正宗からとったのだろう。

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吉田修一「犯罪小説集」 [読]

題名通り、犯罪人を書いた短編集。
未解決の少女誘拐事件、保険金目当て殺人事件、巨額背任事件、老人集落殺人事件、元プロ野球スターの殺人事件の5編からなる。
この人は悪人を書くのが本当に上手い。罪を犯した者はもちろん、その周りの人間が鮮やかにあぶり出される。実際にあった事件を題材に、想像を膨らませていくのだろうなあ。
もっとも、現在A新聞に連載中のものは今イチだが・・・。

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村上春樹「騎士団長殺し」 [読]

毎年ノーベル賞候補として騒がれ、なんとなく敷居が高くて敬遠していた。若いころに「ノルウェイの森」を読んだ記憶はあるが、筋も忘れてしまった。
今回、何年ぶりかの長編だということで手に取ったのだが、これが読みやすく実に面白かった。食わず嫌いとはこういうことだったのか。
若い画家が結婚して、生活のために意に反して肖像画を描いている。突然妻から離婚を切り出され、友人の別荘を借りる。そこは戦前に有名だった画家のアトリエで、隠されていた絵を発見する。
そこから不思議な出来事が重なり、自分を見つめ直すというようなことか。長編だが一気読みだった。

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辻原登「籠の鸚鵡」 [読]

1980年代バブル期の和歌山が舞台。役場に勤める慎ましい男の楽しみは、休日に町へ出て映画を観、少しの酒を飲むことだった。
あるとき、ふとバーに立ち寄ったことから転落が始まる。ママには不動産業を営む夫がいて、その夫の悪事につけ込むヤクザがいた。
実際にあった公金横領と暴力団の抗争を題材にした小説ということだが、スリリング、スピーディでとても面白かった。題名は主人公の一人であるママのことを指すのだろうか。
著者は芥川賞作家で70歳を越えているというのも驚く。

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髙村薫「土の記」 [読]

山持ちの地主の家に都会から婿養子に入った男の物語。
会社勤めを終えて古稀を越え、一人で米を作り、野菜を育て、茶の木の育つのを楽しみに生きる。彼には交通事故で植物人間状態になって十数年の妻がいた。
彼女が死に、一人暮らしの夜や田仕事のさなかに過去が立ち上がってくる。
夢とうつつが入り交じり、田舎暮らしの近所づきあいの中で、亡き妻の娘、孫、義妹たちのことが綴られる。さりげない描写からゾクリとした出来事が浮かび上がってくる。まさしく土と共に生きた男の骨太な物語。
舞台が近くの奈良県大宇陀で、主人公の年齢にも近くとても身近に感じたが、この男の生き様をどう見るか。圧倒される思いで読み終えたが、わからない。
好きな「合田雄一郎」の老年はどう書かれるのだろう。

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宮部みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四乃続」 [読]

この人の頭の中は一体どうなっているのだろう。次から次へと新しい物語を生み出して、少しもマンネリにならず、しんみりさせて登場人物を応援したくなる。
今回は江戸時代が舞台。若い娘が商家の一室で、恐ろしい経験を抱えた人が死ぬまでに吐き出したい話を聞く、というもの。
あの世とこの世をつなぐ宿、料理人にとりついた霊、間引きを引き受ける鬼、商家の守り神、の4話からなる。前に3話があるらしい。

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竹村公太郎「水力発電が日本を救う」 [読]

フクシマが曖昧のまま、原子力発電が復活しようとしている。様々な意見がある中で、少なくとも原発が電気のコストが最も安いという宣伝は嘘だと分かった。
この本は既存のダムによる水力発電が今後のエネルギーの中心になれると訴えている。高度成長期に多大の犠牲を払って建設されたダムは貴重な財産だという。うちの田舎もその一つだ。
ダムは岩盤と一体化して半永久的に壊れない、現在のままでも運用で発電量が大幅に伸びる、既存ダムのかさ上げ工事が比較的容易に済む、その他砂防ダム等の利用による発電の可能性について書かれている。
しかも、石油など天然資源とは違い、日本は水に恵まれ枯渇する心配がない。
著者は元国土交通省河川局長でダム建設一筋に携わってこられた。まさに目を開かれる思いで読んだ。

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恩田陸「蜜蜂と遠雷」 [読]

ピアノコンクールに出場する若者たちの物語。内外の天才少女、天才少年に加え、夢破れ一度は会社勤めを始めた青年の挑戦もある。
音楽もうとくて、出てくる曲名はさっぱり分からないけれど、コンクールの雰囲気や音楽家たちの気持ちがよく分かるように書かれていて、共鳴できる。
作者の力量なのだろう。先日、この作品で直木賞を受賞したのも納得する。

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荻原浩「ストロベリーライフ」 [読]

新進気鋭の広告マンが、会社から独立して、自分の製作したいものにこだわろうとするが世間は甘くない。
妻子を抱え困っているところに、実家の父親が倒れてしまう。実家は農業だ。とりあえず必要な出荷作業を手伝ううちにのめり込んでいくが、妻子はどうする・・・。
日本農業の実態や可能性も盛り込まれていてなかなか面白い。何より可笑しくて一気に読んだ。

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萩原浩「海の見える理髪店」 [読]

今年の直木賞受賞作。これも予約して半年ほど待った。6作の短編からなる。
海の見える丘に店を出した初老の床屋。母との確執から家を出た娘。夫婦げんかして実家に帰った娘。冒険で家出した女の子。父の形見の時計を手にするリストラされた男。娘を亡くした夫婦。
いつか読んだ短編集「月の上の観覧車」と同じように、どの作品も主人公たちへのやさしい応援歌になっていて味わい深いが、冒険する女の子の「空は今日もスカイ」が一番印象に残ったかな。

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長岡弘樹「赤い刻印」 [読]

警察学校を舞台にした短編ミステリー集「教場」を読んでファンになった作者の作品。
切り詰められた文章の中に様々な伏線が張られ緊張して読む。分かったつもりになっても、さらに奥があってとても面白かった。
刑事の母と娘の「赤い刻印」、脳を病む女子医大生の「秘薬」、子どもに自殺された担任の「サンクスレター」、老母と授産所通いの弟の世話をする女の「手に手を」の4作からなる。

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東野圭吾「人魚の眠る家」 [読]

本を読んだのは久しぶり。リタイアしてからは本も雑誌も買うことがなくなった。何もかも図書館のお世話になる。
ただ、新しい本は全部順番待ちになる。この本は春ごろに予約して、ようやく借りられた。このあとにも100人以上も待っているらしい。
子どもがプールの事故でいわゆる植物状態になるという話し。かなり力を入れて書かれたように見受けられるが、読後感はいまいちというところかな。

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