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しんしんと肺碧きまで海の旅   篠原鳳作 [詩]

トラ〇〇〇〇のミステリーツアーに行ったら、鹿児島だった。開聞岳を臨む絶景の長崎鼻で、全く思いがけずこの句碑にであい、飛び上がった。
篠原鳳作は大岡信の「百人百句」で初めて知った俳人で、残念ながら昭和の初めに夭折したらしい。この地の生まれだったんだ。
これを踏まえた「鷹渡る鳳作の海夜も青  緒方輝」という句もあって、タカが南シナ海を渡る春と秋にはいつも思い出す。

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凍鶴(いてづる)のごと長考の羽生九段   小山公商 [詩]

いつの時代、どの世界でも輝くスターがいて、やがて新しいヒーローが現れる。そしてそのとき、劇的な交代のシーンが見られる。
将棋界では、新しいヒーロー藤井聡太と大スター羽生善治の王将戦というタイトルマッチが実現した。無敵の藤井に、タイトル獲得100回をかけて羽生が壁となれるか。
この美しい句を今日の朝日新聞俳壇で選んだ選者の一人、長谷川櫂の評もまた素晴らしい。
「凍れる鶴とは最上の賛辞。勝っても負けても羽生は羽生」。
今日の第5戦は残念な負けだったが、次局は有利な先手番。ぜひとも勝って最終戦まで戦って欲しい。

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中秋の名月2022 [詩]

人それぞれ書を読んでゐる良夜かな
                 山口青邨
昨夜は十五夜だった。天気予報がうれしい方に外れて、当地でもゆっくり楽しめた。
テレビとパソコン漬けの日々になってしまい、句のような暮らしは夢物語になってしまったなあ。

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小綬鶏の見張る筍掘りて来つ  角田良子 [詩]

とても爽やかな一日。散歩に出かけたら、竹藪から聞き慣れない鳴き声がする。
「ピョーッ、キョーッ」と大きな声で、アオゲラかと思ったが、しばらく見ているとコジュケイが出てきた。そうか、あんな声でも鳴くのだな。
でも、コジュケイはやはり定番の「チョットコイ、ちょっと来い」でタケノコ番をする方が似合うかな。
キセキレイも電線ではなく、木に止まっているのが撮れてうれしいかった。

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咲き誇る [詩]

空をゆくひとかたまりの花吹雪   高野素十

先月末に開花した近所の桜が満開になった。
かつては犬と散歩したコースをゆっくり歩いた。明日は桜吹雪が見られるだろう。

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散歩道も満開 [詩]

桜ばないのち一ぱいに咲くからに生命をかけてわが眺めたり   岡本かの子
                  *
今年は全国的に開花が異常に早いと報じられてきたが、当地でもソメイヨシノが満開になった。かつて犬と一緒に歩いた道を一人でたどる。
そういえば、今まで誕生日に満開だったことがあったろうか。

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平昌オリンピック終わる [詩]

あっという間の2週間だった。
食べる心配もせず、一日中テレビを見ていられるありがたさをしみじみ思う。
小平奈緒と李相花の感動の光景ををなんとか言葉に残したい。そこで短歌を始めることにした。
               *
・日韓の旗を纏いて抱き合う二人の選手に感謝と希望と
・滑り飛びアスリート達舞い投げるテレビの前で一人雄叫び

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ヨモツヒラサカスミレサク [詩]

「大和」よりヨモツヒラサカスミレサク
                   川崎展宏
昭和20年(1945年)の今日、沖縄へ向かった戦艦大和がアメリカ軍の攻撃を受けて沈没した。
句は、沈み行く大和から最後の無電が入る、黄泉の国へと続く坂道には菫が咲いている、というもの。俳句とは自然の美しさや人間の情感を詠むだけではなく、優れて社会的なメッセージを表現できるものだということを教えてもらった一句だった。
日本だけではなく世界中で右傾化が進み、自国中心主義者が台頭している。排他主義は悪魔のように人のこころに忍び込み争いの種をまく。今こそ「心の中に平和のとりでを築かなければならない」(ユネスコ憲章)。

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頬白のさへずる春と [詩]

高槻のこずゑにありて頬白のさへずる春となりにけるかも
                           島木赤彦
三寒四温とはよく言ったもので、ようやく暖かくなってきた。寒い間は一人で出かけるのは面倒で閉じこもりがちになってしまう。今日は久々に散歩に出かけたら、ホオジロに出会った。ウグイスに負けないとでもいうように美声を張り上げていた。
いよいよ春だ。

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吉野弘「二人が睦まじくいるためには」 [詩]

詩集はほとんど読まないが、先月新聞で詩人の死が報じられていて、興味を持った。図書館で借りようとしたら、順番待ちで驚いた。
雪は自分の汚れを隠すために降るという詩や、若い妊婦さんを書いたものも良かったが、結婚式で使われるというこの詩がやはり印象に残る。むしろ切実な局面にある者に響くかもしれない。
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 祝婚歌            (風が吹くと)
          吉野弘
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい

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中秋の名月は [詩]

残念ながら見られない。台風17号のバカヤロー。
ところで、こういう句をみると、つくづく家庭教育の大切さを思い知らされる。ダブルパンチだな。

ひとぞれぞれ書を読んでゐる良夜かな   山口青邨

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PL花火 [詩]

花火上るはじめの音は静かなり    星野立子

今年は湿気が少なく、風があって、快適な花火見物になった。
身内のマンションの5階から見るようになって17年目。変わらずに続けられるのはうれしく、ありがたい。
少しずつ規模が小さくなってきているように思うが、なんとか続けてもらいたい。信者ではないけれど。

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長谷川櫂「海の細道」 [詩]

千年をまた一つより始めけり   長谷川櫂
                     2001年1月14日付、朝日新聞「新春詠」
この句がとても気に入っていて、この人の書いたものはよく読む。読売新聞での連載が本になった。
松尾芭蕉は「奥の細道」の旅のあと、西国を目指しながら志半ばのまま、大坂で死んだ。
その夢を追って瀬戸内海から大陸まで旅した紀行である。立ち寄った地での感慨と句が書かれている。あとがきによれば、20年来の構想という。
初学の身にはもとより句の巧拙は分からないのだが、冒頭のような感銘を受けたものはなかった。果たして芭蕉と並んで後世に残るのだろうか。

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朧月夜 [詩]

昨夜家に帰るとき、最後の路地を回ると、正面に昇ったばかりの月があった。
まん丸で、淡い黄色で、柔らかくかすんで見える。こういう景色こそ写真に撮りたいなあ。

外にも出よ触るるばかりに春の月    中村汀女
(と)

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アンパンマンの歌 [詩]

震災追悼のテレビ番組は辛くて見られなかった。
新聞の記事で、当時ラジオ局が被災地へ音楽を届けようとし、子どもたちにはアンパンマンのテーマ曲を繰り返し流していたことを読んだ。
軽快なメロディーは思い出したが、こんなにも深い言葉だったとは知らなかった。
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「アンパンマンのマーチ」
    やなせたかし作詞、三木たかし作曲

そうだ うれしいんだ いきる よろこび
たとえ むねのきずが いたんでも

なんのために うまれて
なにをして いきるのか
こたえられない なんて
そんなのは いやだ!
いまを いきる ことで
あつい こころ もえる
だから きみは いくんだ ほほえんで
そうだ うれしいんだ いきる よろこび
たとえ むねのきずが いたんでも
ああ アンパンマン やさしい きみは
いけ! みんなのゆめ まもるため

なにが きみの しあわせ
なにをして よろこぶ
わからないまま おわる
そんなのは いやだ!
わすれないで ゆめを
こぼさないで なみだ
だから きみは とぶんだ どこまでも
そうだ おそれないで みんなのために
あいと ゆうきだけが ともだちさ
ああ アンパンマン やさしい きみは
いけ! みんなのゆめ まもるため

ときは はやく すぎる
ひかる ほしは きえる
だから きみは いくんだ ほほえんで
そうだ うれしいんだ いきる よろこび
たとえ どんなてきが あいてでも
ああ アンパンマン やさしい きみは
いけ! みんなのゆめ まもるため

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春を恨んだりはしない [詩]

「眺めとの別れ」
         ヴィスワヴァ・シンボルスカ作
         /沼野充義訳

またやって来たからといって 
春を恨んだりはしない
例年のように自分の義務を
果たしているからといって
春を責めたりはしない

わかっている
わたしがいくら悲しくても
そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと

草の茎が揺れるとしても
それは風に吹かれてのこと
水辺のハンノキの木立に
ざわめくものが戻ってきたからといって
わたしは痛みを覚えたりはしない

とある湖の岸辺が以前と変わらず
-あなたがまだ生きているかのように-
美しいとわたしは気づく

目が眩むほどの太陽に照らされた
入り江の見える眺めに
腹を立てたりはしない

いまこの瞬間にも
わたしたちでない二人が
倒れた白樺の株にすわっているのを
想像することさえできる

その二人がささやき、笑い
幸せそうに黙っている権利を
わたしは尊重する

その二人は愛に結ばれていて
彼が生きている腕で
彼女を抱きしめると
思い描くことさえできる

葦の茂みのなかで何か新しいもの
何か鳥のようなものがさらさらいう
二人がその音を聞くことを
わたしは心から願う

ときにすばやく、ときにのろのろと
岸に打ち寄せる波
わたしには素直に従わないその波に
変わることを求めようとは思わない

森のほとりの
あるときはエメラルド色の
あるときはサファイア色の
またあるときは黒い
深い淵に何も要求しない

ただ一つ、どうしても同意できないのは
自分があそこに帰ること
存在することの特権-
それをわたしは放棄する

わたしはあなたよりも十分長生きした
こうして遠くから考えるために
ちょうど十分なだけ

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池澤夏樹さんの著作「春を恨んだりはしない」で教えていただいた。
非礼は承知ながら、いつの日か、この詩も被災された方に受け容れてもらえるときが来ますように。

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貘(ばく) [詩]

中島みゆきが、かつて長門裕之、南田洋子夫妻が司会をしていた「ミュージックフェア」で、泣きながら「ホームにて」を歌ったのはもう30年以上も前のことだ。
田舎から出てきて一人暮らしの頃、偶然に見たのだが、今でも忘れられない。
昨年暮れに発売されたアルバムをようやく手にしたら、キムタクのドラマのテーマ曲よりも、こちらの方が昔を思い出してすっかり気に入ってしまった。
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「バクです」
        作詞、作曲/中島みゆき
 
バクです バクです 今の今からバクになる
バクです バクです バクになることにしたんです
あんたの 悪い夢を喰っちまいます
あんたの 怖い夢を喰っちまいます
あんたの つらい夢を喰っちまいます
あんたの 泣いた夢を喰っちまいます
バクはまったく平気なんです
痛くもかゆくもないんです
腹いっぱいになりすぎたなら
ふわりふわりと浮きそうだ
そしたらバクは夢を見るんだ そしたらバクは夢を見るんだ
笑ってるあんたの夢を見る

バクです バクです 今の今からバクになる
バクです バクです バクになることにしたんです
あんたの 悲しいことを喰っちまいます
あんたの 寂しいことを喰っちまいます
あんたの 苦しいことを喰っちまいます
あんたの 痛いことを喰っちまいます
バクはまったく悪(あく)もの喰いで
何んでも彼んでも喰うんです
心配されても その心配さえ
うまいうまいと喰いそうだ
バクは1人で喰い続けてる バクは1人で喰い続けてる
笑ってるあんたの夢を見るまで

バクの上に夢よ降り積め あんたの捨てたい夢よ降れ
バクは1人で喰い続けてる バクは1人で喰い続けてる
笑ってるあんたの夢を見るまで
バクです バクです 今の今からバクになる

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