アメリカが日本に原子爆弾を落とすとき、目的とする都市は最初から広島に決まっていたという。
それは、旧日本陸軍の兵站の拠点が広島にある宇品(うじな)港だったかららしい。軍港といえば海軍のものと思い込んでいたが、島国の日本が海外で戦争をすれば、兵員の輸送はもとより、物資や兵器の運搬に船は欠かせない。
これは、その軍港の管理に奔走した最高司令官たちの跡を追ったドキュメント。大変な労作だが、小説を読むようだ。A新聞の賞を取ったことで知った。
いかに無謀な戦争だったかが、あらためて教えられる。そして、これからも資源を海外に頼らざるを得ない我が国にとって示唆に富む本だ。