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映画「草原の椅子」 [観]

妻に去られ娘と暮らす中間管理職、社員のリストラを迫られる経営者、不妊のため離縁させられた女、そして虐待する母親から逃れた男の子。
4人が出会い、桃源郷といわれるパキスタンのフンザへ旅し、再び生きる力を手に入れる。大人のための上質な童話だ。

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横山秀夫「64 ロクヨン」 [読]

これは文句なしに面白い。
平成元年の前、数日の昭和64年があった。そのときに起こった事件は未解決のまま、「ロクヨン」と呼ばれ、県警の刑事たちに生傷で残っている。
警察庁のキャリア組が本部長と警務部長のポストを押さえ、ノンキャリが刑事部長を占める地方警察の構図を、キャリアがすべて支配する全国警察組織へ改編しようとする企みに「64」が利用されようとする。
たたき上げの鬼瓦刑事が人事異動で広報官になり、キャリアの手先として使われる。彼には娘の家出が警務部長に逆らえない枷になっている。その中で誘拐事件が発生する。
夫婦、親子、上司と部下、誇りと服従、鬼瓦の心模様が丹念に描かれながら、最新鋭の装備を使った犯人追跡が始まる。
最後まで息を呑む、すばらしい構想だ。下手な映画化はしないでほしい

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るーぷらざフェスティバル [鳥]

河内長野市で活動するボランティアや市民団体が集まるフェスティバルが行われた。
河内長野市立市民公益活動支援センター(るーぷらざ)が主催する催しで、50ほどの団体が集まり、展示、発表、販売などがあったが、いわゆる文化祭だ。
野鳥の会として参加したが、各団体のスタッフばかりが多く、親睦会になっている。一般の方向けの資料なども用意したが20部ほどしか捌けず、新入会員の獲得は難しいかもしれない。

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映画「ダイ・ハード ラスト・デイ」 [観]

いやはや全篇ドンパチ、スカッとする、というよりも唖然とする。
筋はロシアの政治犯を救出しようとするCIAを、世界一ついていないニューヨーク市警の男が手助けするというもの。CIAの息子と親子の絆を取り戻す、ということのようだがあまり関係ない。
ブルース・ウイルスもさすがに歳をとった。素手のケンカはなくなったが、クルマですっ飛ばし、機関銃をぶっ放し、ビルから飛び降りるのは健在だ。
ラスト・デイ、とあるが本当に終わりなのだろうか。

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髙村薫「冷血」 [読]

合田雄一郎は好きな主人公の一人だ。
警視庁捜査一課特殊斑の係長になって、もはや第一線の現場に出て犯人と直に対することはできず、本部で指揮をする立場になった。
歯科医夫婦が、子ども二人と共に、強盗に惨殺される。犯人は刑務所がえりの二人とはいえ、全くの粗暴犯ではなく、被害者との面識もない。偶然のように事件が起こり、動機も明らかにならないままに、犯人は死んでゆく。希望も何もない。人間のおぞましさが淡々と綴られる。
彼らの心の闇に向かい合う雄一郎も、また、闇を抱えたままのように見える。野菜作りをはじめたとはいえ、犯人をして「歳を食った学生」と言わしめた雄一郎は、この事件が起こった2002年で42、3歳の設定になっている。
とすれば、震災は50歳を過ぎて迎えることになる。一体、次作はどのような姿を見せてくれるのだろう。

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ツグミの旅立ち [鳥]

雑草だらけの庭にツグミがやってきて、ミミズを引っ張り出した。
毎年のことだが、秋にやってきたときには集団で木の実ばかり食べているが、陽が長くなってくると1羽だけで虫をあさる。渡りに備え、大陸での繁殖に向けて、体力をつけるのだろう。
旅立ちが近い。春は近い。

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平岡昭利「アホウドリと『帝国』日本の拡大」 [読]

明治新政権になって、日本がアホウドリの羽毛を求めてハワイ諸島から東南アジアまで進出していった過程が丹念に書かれている。
アホウドリを殺し尽くした後は、鳥糞(グアノ)の採集へ、そしてリン鉱石の採掘へと目的が変わっていく。それは一攫千金を狙う山師個人の野望から、必然的に大規模資本による植民地支配へと変貌していく。膨大な資料に基づく大変な労作だ。
それにしても、1800年代の終わり、わずか20年ほどの間に数百万羽のアホウドリが撲殺されたという。そして、残された50羽から奇蹟の復活を目指して保護に取り組む人たちがいる。同じ日本人だ。

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春告げ鳥 [鳥]

今朝、ウグイスの初鳴きを聞いた。
場所は河内長野市大師町。気温は低いが快晴。テニスコートのフェンス沿いに竹藪があり、そこで囀っていた。結構上手な鳴き方だったので、少し前から鳴いているのかもしれない。
春は近い。うれしくなってラケットを振り回しすぎたか、テニスの方はさっぱりだったが。

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映画「アウトロー」 [観]

素手で殴り合ってこれだけ強いと、さぞ気持ちいいだろうなあ。
無差別射殺事件が起こり、イラン戦争時のアメリカ狙撃兵が犯人とされる。捕まった狙撃兵が弁護を依頼したのは、多くの勲章を得ながら若くして退役しているアメリカ陸軍兵だった。
彼が真犯人をあぶり出し制裁する、という話。

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伊勢詣で [遊]

連休は伊勢神宮に行ってきた。初めてだったのだが、すごい人出でびっくり。若い人が多い。
宿は浜島町で、ここは日本の夕日百選に選ばれている。しっかり観られて満足。翌朝は温泉に浸かりながら日の出が見られて、これまた結構だった。
帰りに、志摩の海女さんショーを見た。こんな真冬にもやってるなんて凄い。

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柳広司「パラダイス・ロスト」 [読]

第二次大戦中、陸軍にD機関と呼ばれるスパイ組織があった。各国のスパイと騙しあい、つぶしあう、という小説。
前に読んだ「天皇の代理人」は戦争回避へ奮闘する話で、こちらは猪突猛進一辺倒の軍隊を嗤いながらも戦争を進める話。かすかに厭戦の匂いは漂うが。

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映画「ストロベリーナイト」 [観]

被害者になったことで警官を志し、たたき上げで警視庁捜査一課の主任になった姫川玲子。
小説も全部読んだしテレビのシリーズも見たのに、映画になってまた見に行った (^^;
ほぼ原作どおりだったけど、スピーディでなかなか面白かった。ただ、相手役のヤクザになった大沢たかおと、捜一課長で最後に一番いい役だった三浦友和はミスキャストだなあ。どちらも甘すぎる。

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緑の繭 [遊]

写真は蛾の仲間、ウスタビガの繭だそうだ。
河内長野野鳥の会の探鳥会に参加した。冬鳥を探して里山を歩くコースで、昼食時に自然博士から教えていただいた。
アラカシの葉の裏にぶら下がっている。残念ながらこれは羽化できなかったらしい。蚕の一種なので緑の糸がとれ。昔の豪族は緑の着物を作ったという。

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宮部みゆき「刑事の子」 [読]

バラバラ殺人事件が起こる。ところが、死体は死後かなり経ってから散乱されたものだった。
父子家庭の刑事の子の近辺に事件の影が差し、お手伝いのばあやと一緒に解決の手助けをすることになる。
20年近く前に書かれた「東京下町殺人暮色」を改題して出版されたというが、ケータイが自動車電話になっているだけで、少しも古さを感じさせない。
そして、この作者の常として、子どもへの温かい眼差しがある。

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