映画「草原の椅子」 [観]
横山秀夫「64 ロクヨン」 [読]
これは文句なしに面白い。
平成元年の前、数日の昭和64年があった。そのときに起こった事件は未解決のまま、「ロクヨン」と呼ばれ、県警の刑事たちに生傷で残っている。
警察庁のキャリア組が本部長と警務部長のポストを押さえ、ノンキャリが刑事部長を占める地方警察の構図を、キャリアがすべて支配する全国警察組織へ改編しようとする企みに「64」が利用されようとする。
たたき上げの鬼瓦刑事が人事異動で広報官になり、キャリアの手先として使われる。彼には娘の家出が警務部長に逆らえない枷になっている。その中で誘拐事件が発生する。
夫婦、親子、上司と部下、誇りと服従、鬼瓦の心模様が丹念に描かれながら、最新鋭の装備を使った犯人追跡が始まる。
最後まで息を呑む、すばらしい構想だ。下手な映画化はしないでほしい
平成元年の前、数日の昭和64年があった。そのときに起こった事件は未解決のまま、「ロクヨン」と呼ばれ、県警の刑事たちに生傷で残っている。
警察庁のキャリア組が本部長と警務部長のポストを押さえ、ノンキャリが刑事部長を占める地方警察の構図を、キャリアがすべて支配する全国警察組織へ改編しようとする企みに「64」が利用されようとする。
たたき上げの鬼瓦刑事が人事異動で広報官になり、キャリアの手先として使われる。彼には娘の家出が警務部長に逆らえない枷になっている。その中で誘拐事件が発生する。
夫婦、親子、上司と部下、誇りと服従、鬼瓦の心模様が丹念に描かれながら、最新鋭の装備を使った犯人追跡が始まる。
最後まで息を呑む、すばらしい構想だ。下手な映画化はしないでほしい
るーぷらざフェスティバル [鳥]
映画「ダイ・ハード ラスト・デイ」 [観]
髙村薫「冷血」 [読]
合田雄一郎は好きな主人公の一人だ。
警視庁捜査一課特殊斑の係長になって、もはや第一線の現場に出て犯人と直に対することはできず、本部で指揮をする立場になった。
歯科医夫婦が、子ども二人と共に、強盗に惨殺される。犯人は刑務所がえりの二人とはいえ、全くの粗暴犯ではなく、被害者との面識もない。偶然のように事件が起こり、動機も明らかにならないままに、犯人は死んでゆく。希望も何もない。人間のおぞましさが淡々と綴られる。
彼らの心の闇に向かい合う雄一郎も、また、闇を抱えたままのように見える。野菜作りをはじめたとはいえ、犯人をして「歳を食った学生」と言わしめた雄一郎は、この事件が起こった2002年で42、3歳の設定になっている。
とすれば、震災は50歳を過ぎて迎えることになる。一体、次作はどのような姿を見せてくれるのだろう。
警視庁捜査一課特殊斑の係長になって、もはや第一線の現場に出て犯人と直に対することはできず、本部で指揮をする立場になった。
歯科医夫婦が、子ども二人と共に、強盗に惨殺される。犯人は刑務所がえりの二人とはいえ、全くの粗暴犯ではなく、被害者との面識もない。偶然のように事件が起こり、動機も明らかにならないままに、犯人は死んでゆく。希望も何もない。人間のおぞましさが淡々と綴られる。
彼らの心の闇に向かい合う雄一郎も、また、闇を抱えたままのように見える。野菜作りをはじめたとはいえ、犯人をして「歳を食った学生」と言わしめた雄一郎は、この事件が起こった2002年で42、3歳の設定になっている。
とすれば、震災は50歳を過ぎて迎えることになる。一体、次作はどのような姿を見せてくれるのだろう。