宮部みゆき「昨日がなければ明日もない」 [読]
上橋菜穂子「風と行く者」 [読]
白川優子「紛争地の看護師」 [読]
飯嶋和一「星夜航行」上・下 [読]
帚木蓬生「守教」 [読]
木皿泉「さざなみのよる」 [読]
原 尞「それまでの明日」 [読]
陳浩基「13・67」 [読]
山中伸弥・羽生善治「人間の未来 AIの未来」 [読]
合田雄一郎は58歳になる [読]
人間ドックの待合室で、普段は読むことのないものをと、何気なく毎〇新聞を手に取り小説欄を見て飛び上がった。
合田雄一郎が出ている!
図書館へすっ飛んでいった。タイトルは「我らが少女A」、昨年8月から連載が始まっていた。舞台は東京の多摩、ときは現在2017年、合田は警察大学校の教授で57歳の警視。同い年で義兄の加納は高裁の判事になっている。
風俗嬢が殺され、逮捕された同棲相手の供述から、彼女が12年前に起きた未解決の殺人事件に関係していたことが分かる。そして、その捜査の責任者が合田だった。
当時、高校生で「少女A」とされ重要参考人だった彼女を巡り、被害者一族、関係者たち老若男女の一人一人の様子が綿密に綴られていく中で、事件の全体像と、彼らの人生が浮かび上がろうとしている。大好きだった合田雄一郎はどのように刑事生活を終えるのだろう。
髙村薫は前作の「土の記」でも多くの賞を取ったが、さらに傑作の予感がする。毎日図書館に通うか、新聞を替えるか、どうしよう。
合田雄一郎が出ている!
図書館へすっ飛んでいった。タイトルは「我らが少女A」、昨年8月から連載が始まっていた。舞台は東京の多摩、ときは現在2017年、合田は警察大学校の教授で57歳の警視。同い年で義兄の加納は高裁の判事になっている。
風俗嬢が殺され、逮捕された同棲相手の供述から、彼女が12年前に起きた未解決の殺人事件に関係していたことが分かる。そして、その捜査の責任者が合田だった。
当時、高校生で「少女A」とされ重要参考人だった彼女を巡り、被害者一族、関係者たち老若男女の一人一人の様子が綿密に綴られていく中で、事件の全体像と、彼らの人生が浮かび上がろうとしている。大好きだった合田雄一郎はどのように刑事生活を終えるのだろう。
髙村薫は前作の「土の記」でも多くの賞を取ったが、さらに傑作の予感がする。毎日図書館に通うか、新聞を替えるか、どうしよう。
早瀬耕「未必のマクベス」 [読]
題名は、「自ら望んで、王を殺したマクベスのようになろうとした訳ではないが、結果としてそうなっても仕方ない」というような意味だろうか。
東南アジアで交通系ICカードの販売で成果を上げた男が、香港にある子会社の社長に抜擢される。しかし、そこは親会社の裏金作りを担当するところだった。高校時代の初恋の相手が絡み、波瀾万丈の人生が始まる。
シェークスピアを読んでいなくても「マクベス」が分かるように工夫されているし、少しわかりにくいところもあったが、そんなところは読み飛ばして、とにかく面白い。
北上次郎が解説で書いていることがピッタリだ。「正しくても退屈な小説より、少々問題があっても読むことの喜びにあふれた小説のほうがいい、・・・とても素敵な小説だ。究極の初恋小説だ」
東南アジアで交通系ICカードの販売で成果を上げた男が、香港にある子会社の社長に抜擢される。しかし、そこは親会社の裏金作りを担当するところだった。高校時代の初恋の相手が絡み、波瀾万丈の人生が始まる。
シェークスピアを読んでいなくても「マクベス」が分かるように工夫されているし、少しわかりにくいところもあったが、そんなところは読み飛ばして、とにかく面白い。
北上次郎が解説で書いていることがピッタリだ。「正しくても退屈な小説より、少々問題があっても読むことの喜びにあふれた小説のほうがいい、・・・とても素敵な小説だ。究極の初恋小説だ」
瀬戸内寂聴「いのち」 [読]
柚月裕子「慈雨」 [読]
上田秀人「竜は動かず」 [読]
吉田修一「犯罪小説集」 [読]
村上春樹「騎士団長殺し」 [読]
辻原登「籠の鸚鵡」 [読]
髙村薫「土の記」 [読]
山持ちの地主の家に都会から婿養子に入った男の物語。
会社勤めを終えて古稀を越え、一人で米を作り、野菜を育て、茶の木の育つのを楽しみに生きる。彼には交通事故で植物人間状態になって十数年の妻がいた。
彼女が死に、一人暮らしの夜や田仕事のさなかに過去が立ち上がってくる。
夢とうつつが入り交じり、田舎暮らしの近所づきあいの中で、亡き妻の娘、孫、義妹たちのことが綴られる。さりげない描写からゾクリとした出来事が浮かび上がってくる。まさしく土と共に生きた男の骨太な物語。
舞台が近くの奈良県大宇陀で、主人公の年齢にも近くとても身近に感じたが、この男の生き様をどう見るか。圧倒される思いで読み終えたが、わからない。
好きな「合田雄一郎」の老年はどう書かれるのだろう。
会社勤めを終えて古稀を越え、一人で米を作り、野菜を育て、茶の木の育つのを楽しみに生きる。彼には交通事故で植物人間状態になって十数年の妻がいた。
彼女が死に、一人暮らしの夜や田仕事のさなかに過去が立ち上がってくる。
夢とうつつが入り交じり、田舎暮らしの近所づきあいの中で、亡き妻の娘、孫、義妹たちのことが綴られる。さりげない描写からゾクリとした出来事が浮かび上がってくる。まさしく土と共に生きた男の骨太な物語。
舞台が近くの奈良県大宇陀で、主人公の年齢にも近くとても身近に感じたが、この男の生き様をどう見るか。圧倒される思いで読み終えたが、わからない。
好きな「合田雄一郎」の老年はどう書かれるのだろう。
宮部みゆき「三鬼 三島屋変調百物語四乃続」 [読]
竹村公太郎「水力発電が日本を救う」 [読]
フクシマが曖昧のまま、原子力発電が復活しようとしている。様々な意見がある中で、少なくとも原発が電気のコストが最も安いという宣伝は嘘だと分かった。
この本は既存のダムによる水力発電が今後のエネルギーの中心になれると訴えている。高度成長期に多大の犠牲を払って建設されたダムは貴重な財産だという。うちの田舎もその一つだ。
ダムは岩盤と一体化して半永久的に壊れない、現在のままでも運用で発電量が大幅に伸びる、既存ダムのかさ上げ工事が比較的容易に済む、その他砂防ダム等の利用による発電の可能性について書かれている。
しかも、石油など天然資源とは違い、日本は水に恵まれ枯渇する心配がない。
著者は元国土交通省河川局長でダム建設一筋に携わってこられた。まさに目を開かれる思いで読んだ。
この本は既存のダムによる水力発電が今後のエネルギーの中心になれると訴えている。高度成長期に多大の犠牲を払って建設されたダムは貴重な財産だという。うちの田舎もその一つだ。
ダムは岩盤と一体化して半永久的に壊れない、現在のままでも運用で発電量が大幅に伸びる、既存ダムのかさ上げ工事が比較的容易に済む、その他砂防ダム等の利用による発電の可能性について書かれている。
しかも、石油など天然資源とは違い、日本は水に恵まれ枯渇する心配がない。
著者は元国土交通省河川局長でダム建設一筋に携わってこられた。まさに目を開かれる思いで読んだ。